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相続財産にクラシックカーが・・・

【本日のお悩み】

先日親が亡くなり、相続手続きを司法書士さんにお願いしたら「相続財産にクラシックカーが含まれているのでこちらは別途手続きが必要です」と言われました。
こういう時はどのようにすれば良いのでしょうか?

親御様がお亡くなりになられたとのこと、まずはご冥福をお祈り申し上げます。
そんな時に、スムースに相続手続きが進まないと不安になりますよね。

今回のようなケースでは、相続による自動車の所有権移転に関する手続きを行なうのですが、該当車がクラシックカーということで、少し手続きが複雑になります。

どのような手続きをしなければならないのか、どういった点がクラシックカーならではの手続きになるのか、一緒に確認していきましょう。

クラシックカーの価値は?

亡くなった方が所有していた車は土地や建物や預貯金などの他の財産と同様に相続財産となり、相続税の課税対象となりますので、相続した自動車の価値を評価して遺産の総額に含める必要があります。

自動車の評価額は一般的な車であれば、亡くなられた所有者の死亡日時点での取引価格が評価額となります。
現行車の場合は、購入代金から減価償却費を差し引いた額が評価額となるケースがほとんどです。

ところがクラシックカーの場合は一般的な現行車とは価値が異なるため、クラシックカーに精通している中古車業者や、日本自動車査定協会などで正確な時価を査定してもらう必要があります。

この時に査定してもらった評価額証明書は遺産額の確定に必要ですが、車の名義変更手続きを行なう際には必要ありませんので、遺産分割協議書の作成が終わったらそれらの書類と一緒に大切に保管しておいてください。

名義変更手続きは必須

これはクラシックカーに限らずですが相続した自動車を、そのまま乗り続ける場合、売却する場合、廃車にする場合等、相続した車をその後どのように扱う場合でも、まず最初に名義を亡くなった方から相続人へ変更する必要があります。

亡くなられた方の名義のままだと、売却や廃車の手続きはできません。
そのまま乗り続けることは物理的には出来なくはないですが、道路交通法違反なのでダメです。

相続による自動車の名義変更は他の相続手続きと違って申請期限や罰則はありませんが、放置していて良い事なんて一つもありませんので可能な限り早めに手続きを行なうことをオススメします。

その車の所有者は誰だ!?

自動車の名義変更をするには、まず自動車の所有者の確認をする必要があります。
自動車検査証の『所有者欄』に記載されている名前を確認しましょう。

所有者欄に亡くなられた方の名前がある場合は、その時点で自動的に相続人全員の共有財産となりますので、だれが新所有者になるのかを相続人の間で話し合って決める必要があります。(遺産分割協議)
遺産分割協議がまとまれば、車を相続する人へ名義を変更する手続きを行なうことができます。

相続財産が他にもたくさんあってなかなか全体の協議はまとまらないのだけれど、車を相続する人だけは明確に決まっているというケースであれば、自動車のみの取り扱いを決めた遺産分割協議書を作成し、車だけ先に手続きを行なうことも可能です。

亡くなられた方の名義以外では、所有者欄に信販会社や自動車販売店やディーラーの名前が記載されているケースがあります。
ローン等で車を購入しており、完済するまでは所有者欄に信販会社等、使用者欄に亡くなった人の名前が記載されている状態です。

この場合ですと、自動車は相続財産にはなりませんが、残債の有無を出来るだけ早く調べる必要があります。
車検証に記載のある信販会社等に問い合わせをして、残債額を確認してください。

一番シンプルなのは車を相続する人が残債を一括返済して所有者の名義に変更してしまう方法ですが、それが難しい場合は所有者欄に記載された信販会社等にご相談の上で手続き方法を確定させてください。

名義変更(移転登録)手続きの方法

一般的な移転登録についての手続きはこちらの記事で解説しておりますのでご参照ください。
⇒ 『 自動車の移転登録について 』

基本的な必要書類や記入する申請書(OCRシート)は同じですが、今回は相続による手続きとなりますのでこれらに加えて、『遺産分割協議書』が必要となります。

自動車の価値が100万円を超える場合は、相続人全員の署名捺印がある遺産分割協議書が必要となりますのでご注意ください。

名義変更の手続きの際に税事務所へ支払う納税額は製造年月を基に算定されるので、資産価値の高い車であってもクラシックカーは製造年月日が相当古いものになるので取得時の納税額は0円となります。
心配な人は事前に管轄の陸運局内にある税事務所に納税額の確認をすることをオススメいたします。

その他の注意点として、車を相続される方が亡くなられた方と住所が同一である場合等は問題ありませんが、車を相続する方の住所地によっては管轄が変わってナンバープレートが変更となる場合があります。
この場合は当該車を陸運局に持ち込んで手続きを行なう必要があるのでご注意ください。

また、この場合は名義変更手続きをする前に車庫証明の取得をする必要があります。
車庫証明の取得手続きに関してはこちらの記事をご参照ください。
⇒ 『 車庫証明申請に必要な書類を準備しよう! 』
⇒ 『 車庫証明申請書類の書き方解説! 』

更に手続きが煩雑になるケース

ここまでで既にかなり煩雑な手続きが平日の日中に要求されることがわかったと思いますが、これでもまだ自動車登録手続きの中では序の口な方です。

上記項目より更に手続きが複雑化するケースでは以下の場合が考えられます。

相続人の中に未成年者がいる場合
相続手続きと同時に廃車(永久抹消登録)する場合
共同相続する場合(複数の相続人が所有者になる場合)

これらのケースにおいては、必要書類が一般的な名義変更手続き(移転登録)とは異なります。
状況に合わせて求められる書類が変わってくるため、ご自身で手続きをされる場合は必ず管轄の陸運局に事前相談に行くことをおすすめいたします。

とはいえ、陸運局は平日の限られた時間帯しか開いていませんし、電話による手続き相談は基本的には行なっておりません。
平日の日中に時間の自由がきかない場合は、お近くの行政書士や亡くなられた方がその車をお求めになったディーラーに相談してみましょう。

個別具体的にどういった手続きをしなければならないかで金額は当然上下しますが、行政書士にこれらを依頼した場合、一般的な移転登録手続きの場合は車庫証明の申請を含めてもおおよそ5万円以内で手続きが全て完了することが多いのでご自身が何度もお仕事を休むよりは圧倒的にコスパは良いかと思います。

まとめ

①クラシックカーの査定を受けて証明書を発行してもらう

②車検証の所有者の名義を確認する

②’所有者が信販会社等の場合は残債や手続き方法の確認連絡をする

③遺産分割協議を行ない、遺産分割協議書を作成する

④新所有者(車を相続する人)の名義で車庫証明を取得する

⑤管轄陸運局に必要書類と手続き内容の相談にいく

⑥(場合によっては当該車両を持ち込んで)移転登録申請手続きを行なう

⑦車検証の交付を受ける

⑧0円の納税申告をする

⑨(場合によっては)ナンバープレートを取り付け、封印してもらう

以上、大きくわけて9項目の作業を行なうことになります。
大変ではありますがしっかり手続きを行なって、故人が残してくれた愛車を適法に引き継いであげてください。

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